インフルエンザワクチン H29 ③

ワクチンの効果、有効性について(厚労省)

インフルエンザにかかる時は、インフルエンザウイルスが口や鼻あるいは眼の粘膜から 体の中に入ってくることから始まります。

体の中に入ったウイルスは次に細胞に侵入して 増殖します。

この状態を「感染」といいますが、ワクチンはこれを完全に抑える働きはあ りません。

ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの 症状が出現します。

この状態を「発病」といいます。

インフルエンザワクチンには、この 「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認めら れているような高い発病予防効果を期待することはできません。

発病後、多くの方は1週 間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする 方や死亡される方もいます。

これをインフルエンザの「重症化」といいます。特に基礎疾 患のある方や高齢の方では重症化する可能性が高いと考えられています。

インフルエンザ ワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することです。

 

国内の研究によれば、65 歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については 34~ 55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。

 

「インフルエンザワクチンの有効性」は、ヒトを対象とした研究において、「ワクチン を接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクが、『相対的に』どれだけ減少したか」という指標で示されます。

 

6歳未満の小児 を対象とした 2015/16 シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの 有効率は 60%と報告されています。

 

「インフルエンザ発病防止に対するワクチン有効率が 60%」とは、下記の状況が相当します。

・ワクチンを接種しなかった方100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)

・ワクチンを接種した方200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%) → ワクチン有効率={(30-12)/30}×100=(1-0.4)×100=60%

 

ワクチンを接種しなかった人の発病率(リスク)を基準とした場合、接種した人の発病 率(リスク)が、「相対的に」60%減少しています。

すなわち、ワクチンを接種せず発病し た方のうち 60%(上記の例では 30 人のうち18 人)は、ワクチンを接種していれば発病を 防ぐことができた、ということになります。

 

現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、と いうものではありません。しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重 症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。

 

 

 


インフルエンザワクチンの接種によって引き起こされる症状(副反応)(厚労省)

免疫をつけるためにワクチンを接種したとき、免疫がつく以外の反応がみられることが あります。

これを副反応といいます。

季節性インフルエンザで比較的多くみられる副反応には、接種した場所(局所)の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)等が挙げられます。接

種を受けられた方の 10~20%に起こりますが、通常 2~3 日でなくなります。

全身性の反応としては、発熱、頭痛、寒気(悪寒)、だるさ(倦怠感)などが見られま す。

接種を受けられた方の 5~10%に起こり、こちらも通常 2~3 日でなくなります。

また、まれではありますが、ショック、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、 赤み(発赤)、掻痒感(かゆみ)、呼吸困難等)が見られることもあります。

ショック、アナフィラキシー様症状は、ワクチンに対するアレルギー反応で接種後、比較的すぐに起 こることが多いことから、接種後 30 分間は接種した医療機関内で安静にしてください。

また、帰宅後に異常が認められた場合には、速やかに医師に連絡してください。

 

そのほか、重い副反応(注1)の報告がまれにあります。

ただし、報告された副反応の原因 がワクチン接種かどうかは、必ずしも明らかではありません。