冬場でも発生する熱中症

人は暑くなると汗をかくことによって体温をコントロールしている。

発汗によって失われた水分や電解質(塩分やミネラル)の補給が追いつかないと、身体が脱水状態になって体温調節機能がうまく働かなくなり、けいれん・めまい・頭痛・吐き気・倦怠感といった症状が現れる。

これが熱中症と呼ばれるものだ。

熱中症が進行すると、意識がなくなり、最悪の場合は命に危険が及ぶこともある。

 

ところが、最近は冬場でも熱中症になる人が増えている。

熱中症からは程遠いような季節と思われがちだが、油断は禁物だ。

昔と違い畳とふすまの日本家屋から断熱性能、気密性の高い洋風家屋が増えているのも一因かと思われる。

  

暖房器具を使うと部屋が乾燥して体の水分が失われ、高温・低湿度の状態で過ごす時間が長<なり、冬でも脱水症状になりやすいといわれている。

それに加え、高齢者の体内の水分量は若い頃に比べ10%位減少し約50%になる。

これは水分を蓄えられる筋肉量が減るためだ。

さらに、喉が乾いたと感じる脳の口渇中枢の機能も低下し脱水症状に気づきにくくなる。夜中に何度もトイレに行<のを嫌って水分を控える人が多いという高齢者特有の事情もあるようだ。

 

脱水症状は脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしたり、腎不全になったりする恐れがあり、深

刻な場合は命にも関わる。

体のだるさや、めまいを感じたら脱水症状のサインかも知れない。

 

大量に汗をかいたときや脱水症の予防にはスポーツドリンクが有効だが、脱水症に陥った場合の改善には水分吸収速度が速い経口補水液が適している。

経口補水液はスポーツドリンクと同様、電解質に加え糖分も含んでいるが、スポーツドリンクに比べ、ナトリウム量が多く糖分が少ないため、迅速に水分を補給できるのが特徴だ。

脱水の「予防」と「改善」では、水分補給のための飲料の選択が異なる。

そして、冬の脱水症対策として冬場も経口補水液を常備しておくとよい。