牛乳と循環器疾患について

⚫︎ 日本人を対象として牛乳を習慣的に飲んでいる人とそうでない人の血清脂質を比較した疫学研究では「牛乳を習慣的に飲むことは動脈硬化にはほとんど影響しない」ということを示唆する結果が得られている。

牛乳摂取によりLDLコレステロール値は上がるものの、HDLコレステロール値も上がるため、LDL/HDL比は変わらなかった。

 

⚫︎ 虚血性心疾患の原因となるのは脂質異常だけでなく高血圧や糖尿病も関係しているが、牛乳やヨーグルトは高血圧や糖尿病に予防的に働くという疫学研究の報告も複数ある。

 

⚫︎ 牛乳を習慣的に飲むほうが脳卒中に予防的に働く傾向が見られたという報告がある。

日本や中国など東アジアで行われた6つの研究では、特にその傾向が強く見られた。

 

⚫︎ コレステロールが原因の動脈硬化は太い血管にしか起こらないため、心臓の太い血管が影響する虚血性心疾患と違って、細い血管に主に起こる脳卒中では脂質異常はあまり影響しない。

 

⚫︎ 牛乳の脳卒中予防効果を考えるうえで注目すべきは、カリウムの健康効果。

カリウムは、血圧を下げる働きがある栄養素で、不足すると高血圧や脳卒中にかかりやすくなることが分かっている。カリウムには、余分なナトリウムを排せつする働きもある。

 

⚫︎ 食塩と血圧に関する国際共同疫学研究「INTERSALT」によると、食事中の「ナトリウム(塩分)・カリウム比」は日本、韓国、中国がワースト3を占めており、塩分摂取量を減らしてカリウムを増やすのが東アジアに共通の重要な課題となっている。

 

参考・引用

日経Gooday 2017.10.27