血管の検査

血管の検査

頚動脈超音波検査と血管年齢検査があります。

 

・頚動脈超音波(エコー)検査

頚動脈の狭窄や血管壁の状態を画像にして、動脈硬化の有無やその程度を調べるものです。

体に負担を与えずに、頚動脈の状態を調べることができます。

この結果は、全身の動脈硬化の進行を推定する指標として活用されています。

動脈壁の厚みがtlmm以上になると、動脈硬化が進み始めていると診断されます。

 

・血管年齢検査

血管が硬くなっているほど血流が速くなることから、両腕、両脚の血圧と脈波を同時に測り、血管の硬さを判定し、各年齢の平均値と比較して、推定血管年齢を算出します。

下肢に行く血流の様子もわかるので、末梢動脈疾患のスクリーニングにも役立ちます。

 

近年、生活習慣病の患者さんが増加し、動脈硬化のリスクも高まっていることから、これらの検査を受ける人も年々増加しています。

どちらも体への負担が少なく安全で、生活習慣改善のきっかけになる検査です。

(血管の硬さを調べるのがCAVI検査。ほかに詰まりを調べるABI検査があります)

 

具体的な検査方法

両方の足首と腕にカフを巻き、徐々に圧力をかけ、足首と腕の血圧を測る。

それぞれの血圧から、心臓が押し出す血流の速さがわかる。

血管がしなやかだと、血液量に合わせて血管が広がり、血液はゆっくり流れている。

血管が硬くなると、血管が広がらないため、血流は速くなる。

推定血管年齢も算出されます。

(私的コメント;水はゴムホースより鉄管の中の方が速く流れるのも同じ理由です)

 

■検査が勧められる人

血管の検査が勧められるのは、次のような場合です。

・家族が心筋梗塞や脳梗塞など、動脈硬化性の病気を起こしたことがある。

・本人が喫煙、高血糖、高血圧、脂質異常症など、動脈硬化の危険因子をもってい

 る。

・動脈硬化は加齢によって進むので、50歳以上。

 

これらの検査を受ける頻度には明確な基準はありません。

頚動脈超音彼検査で動脈硬化があることがわかっており、さらにほかの危険因子がある場合は、1年に1回ぐらい、それ以外の場合は、数年にI回ぐらいが目安です。

(血圧が高すぎたり不整脈が起きている場合は、血管年齢検査の結果が正確に出ないことがあります)

 

動脈硬化を防ぐために

・食生活の改善

・適度な運動

・禁煙

・持病の治療(服薬など)

 

定期的な検査

検査の結果、動脈硬化があることがわかったら、危険因子への対処を行う。

まず、生活習情を見直し、食生活、運動、喫煙などを改善する。

持病があれば、治療を行う。

必要に応じて定期的に血管の検査を受け、現状をチェックする。

 

■注意すること

すでに心臓病の疑いがある場合は、人間ドックの検査を受けるのではなく、循環器内科などを受診し、精密検査を受けてください。

また、胸の痛み、激しい動悸や息切れなどがある場合は、早めに医療機関を受診してください。人間ドックや健康診断などの心電図検査で異常があり、勧められた場合は、必ず精密検査を受けることが大切です。

 

■検査結果を生かす

検査の結果、動脈硬化があることがわかったら、危険因子への対処をしっかり行います。

まず、食生活、運動、喫煙など生活習慣を見直し、改善すべきところは改善します。

 

高血糖、高血圧、脂質異常症などがあると動脈硬化が進みやすいので、必要なら薬を使うなど、持病の治療を行います。

 

また、危険因子を見直すとともに、必要に応じて定期的に血管の検査を受けることが勧められます。

 

動脈硬化は徐々に進行するため、現在何の症状もなくても、将来、狭心症や心筋梗塞を起こさないとはいえません。

人間ドックで受ける血管の検査では、全身の動脈硬化の状態を調べ、狭心症や心筋梗塞などの病気を起こすリスクを早めに知り、予防に結びつけることができます。

 

 

参考

きょうの健康 2015.5