<RSウイルスとは?>
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、呼吸器感染症を引き起こす代表的な病原ウイルスのひとつです。
RSウイルス感染症はすべての年齢層で起こり、生涯に何度でも感染を繰り返します。
RSウイルスは喉から容易に気管支や肺へ感染が波及します。
小児とくに乳児や若年幼児、あるいは心臓や肺に基礎疾患を持つ小児や成人では重症化しやすく、注意が必要です。
RSウイルスは毎年11月から翌年の5月頃まで流行し、そのピークは1月から2月です。
抗原性の違いによりA株とB株に2大別され、A株とB株が交互に流行する傾向を示します。
RSウイルスは頻繁に遺伝子変異を起こします。
このため母親由来の移行抗体は感染防御に不十分で、生後半年以内の乳児でも罹患してしまいます。
毎年流行を繰り返し生涯に何度でも罹患してしまうのも同じ理由によります.
<症状>
RSウイルス感染症の潜伏期間は2-8日と幅がありますが、多くは4-6日です。
主要な感染経路は接触感染です。
RSウイルスを含む鼻汁や唾液に汚染された器物に触れることでウイルスが手に付着し、その手で目や鼻をこすることで感染が成立します。
ウイルスは鼻や喉の粘膜で増殖し、やがて気管支や肺に感染が拡大します。
生後2歳までにほとんどの乳幼児が感染します。
多くは家族内感染で、兄姉からの感染が多いです。
RSウイルスは、上気道炎、喉頭炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎、無気肺などを起こします。
初感染乳幼児 の7割は上気道症状のみで数日のうちに軽快します。
一方,残りの3割は咳や鼻汁などの初期症状から 2-3日後に咳がひどくなり、細気管支炎や肺炎などの下気道炎を起こします。
RSウイルスによる下気道炎の大多数は、3歳未満の乳幼児に起ります。
感染初期には38°C以上の発熱を呈 し、2-7日間続きます。
気管支から細気管支に炎症が拡大すると、胸がゼイゼイし、激しい喘鳴や陥没呼吸が起ります。
呼吸困難に陥り、人工呼吸管理を要する重症例もみられます。
とくに低出生体重児、先天性心疾患や慢性肺疾患を持つ乳幼児では、重症化する傾向を示します。
喘鳴が強い場合、呼吸器症状が急激に悪化する場合、基礎疾患を持つ場合には入院が必要になります。
RS ウイルスの合併症としては、中耳炎がよく知られており、とくに乳児で多く認められます。
<検査>
RSウイルスの迅速診断キットがありますが保険適用は乳児、2歳未満の入院例などに限定されています。
<治療>
RSウイルスを直接治療する薬剤はありません。
対症療法により軽快、治癒を待ちます。
<予防>
RSウイルスの感染予防を目的に抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体「シナジス」が用いられる場合があります。
対象は
(1)在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
(2)在胎期間29-35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
(3)過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
(4)24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
に限定されています。
RSウイルス感染症
潜伏期間は3~8日。
秋から冬にかけて流行する。
鼻かぜで終わることもあるが、乳幼児に鼻汁、咳、発熱、喘鳴(ぜんめい:ぜーぜー)を起こすことがある。
2歳までにほとんどすべてのお子さんがかかるといわれている。
乳児や、心臓や肺に疾患をお持ちのお子さん、免疫抑制剤を使用されているお子さんは、とくに注意が必要。
鼻水を採取し、検査キットでウイルスを検出する。
治療薬はなく、対症療法を行う。
早く生まれたお子さんや心疾患をお持ちのお子さん、ダウン症や免疫不全の患者さんには、感染を予防するための注射薬(シナジスⓇ)を受けることができる年齢などの条件付き)。
RSウイルス
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/43001674.html
RSウイルス感染症Q&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html
RSウイルスについて
・冬になると毎年流行するかぜなどの呼吸器感染症。
その原因となるウイルスは数百種にも及ぶといわれています。
中でも乳幼児が最も感染しやすいのがRSウイルスです。
その感染力は、ほとんどの子どもが2歳までに一度は感染するといわれているほどといわれています。
(年齢を問わず、生涯にわたり顕性感染を繰り返し、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の小児がRSウイルスの初感染を受けるとされています)
・RSウイルスは、じつは一生のうちに何度も感染を繰り返すウイルスです。
大人がRSウイルスに感染しても、軽い鼻かぜ程度でおさまることがほとんどです。
赤ちゃんが感染した場合も、通常は38~39度の発熱や鼻水、せきなど普通のかぜの症状が出て、8~15日くらいで治ります。
・ところが症状が悪化すると、細気管支炎や肺炎を引き起こすこともあります。はじめてRSウイルスに感染した乳幼児の25~40%に細気管支炎・肺炎の兆候が見られ、0.5~2%の乳幼児が呼吸困難などにより入院しています。
・RSウイルスの感染期間は、最長3週間
RSウイルスチェック表
⬜︎ 38度以上の熱がある
⬜︎ 呼吸が浅く、呼吸数が1分間に60回近くになる
⬜︎ ゼイゼイするせきが続く
⬜︎ たんが詰まる
⬜︎ 発症後、数時間で急激にぐったりする
RSウイルス
https://medicalnote.jp/diseases/RSウイルス(子ども)
・一度RSウイルスにかかったとしても、一生涯の免疫が獲得される訳ではないため、成人期に至るまで何度もRSウイルスにかかる可能性はあります。
RSウイルスとは─乳児に見られる呼吸器感染症
https://medicalnote.jp/contents/150612-000005-LKHRLZ
・RSウイルスに感染してから、症状が出現するまでの期間は約4日間です。
感染の初期に鼻水やのどの痛みが見られ、その1~3日後に咳が現れます。
・熱も出ずに軽症で終わることがありますが、肺に近い気道である細気管支に炎症が及ぶと、呼吸の状態が悪化してゼイゼイと音が聞こえるようになります。
乳児の場合、哺乳量が低下したり、肋骨と肋骨の間がへこむ呼吸が見られたりしたら、呼吸が苦しいサインです。
・反応性気道疾患(reactive airway)
RSウイルス感染症の後に気道が過敏になる状態で、風邪をひくたびにゼイゼイ(喘鳴(ぜんめい))することを繰り返すようになります。
重症なRSウイルス感染症を起こした後の25%程度に見られます。
RSウイルスの流行
RSウイルス感染症 乳幼児に多いRSウイルス感染症
RSウイルス感染症は、乳幼児に多い呼吸器の感染症の一つです。
主な症状は発熱や鼻水が続くことですが、何度も感染と発病を繰り返すのが特徴で、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するとされています。
例年9月頃から初春まで流行するのが一般的でした。
しかし、近年では夏場から流行し始めています。
感染力が強いため、幼稚園や保育園などの施設内で感染するケースが多くみられます。
こんな時は迷わず受診
RSウイルスは、ワクチンによる予防やウイルスそのものに対する治療薬がないため、発症した時は対症療法が中心です。
かぜと同じように、 熱がある時は氷水などで冷やし、脱水を防ぐために水分補給し、十分な睡眠をとるなど安静にします。
症状が軽ければ、たいてい数日で落ち着くので注意深く様子をみます。
ただし咳がひどくなったり、喘息のような「ゼーゼー」「ヒュー
ヒュー」という呼吸音がある場合、さらに呼吸が苦しそうな場合は、症状が進行して細気管支炎や肺炎を引き起こしていることもあります。
このような時は、すぐにかかりつけ医を受診しましょう。
大人も感染! マスクや手洗い・消毒で予防を
大人が感染する場合もあります。
症状がかぜと似ているため感染に気がつかず、家族など周囲の人に感染させてしまうことがあるので特に注意が必要です。
RSウイルスに感染している人が身近にいる時は、咳やくしゃみなどを浴びたり吸い込まないようにマスクを着用しましょう。
手洗いの徹底やドアノブなど身の回りの消毒をして感染予防を心がけてください。
(日医ニュース 2018.5.5)