不整脈の一種である「心房細動」は、日本に約200万人の患者さんがいると推定
される、よくある病気です。
心房細動自体は命に関わるものではありませんが、重症の脳梗塞や心不全の原因になることから、その予防が重要になります。
心房細動の治療では、まず脳梗塞や心不全の予防が重要
心臓は、自らが発する電気刺激が各部に伝わり、心房と心室を交互に収縮・拡張させることで、一定のリズムで拍動している。
心房絹動は、この心臓の拍動の速さやリズムが乱れて脈がバラバラになる不整脈の一種だ。
心臓の中で血液を蓄える役割の心房が、細かく不規則な動きを繰り返す状態になって、うまく収縮できなくなる。
血液を送り出す役割の心室のほうは収縮できるものの、心房の動きの影響で収縮が不規則になり、脈がバラバラになる。
初めは短時間だけ発作的に現れるが、多くは次第に長く続くようになり慢性化していく。
心房細動か起こると、動悸や胸痛などが起きて驚いて受診する人がいる一方、自覚症状のない人も多い。
ただし、心房細動で怖いのは、心房に血液がよどんで血栓(血液の塊)ができやすく、それが心臓から流れ出すと、重症の脳梗塞(心原性脳塞栓症)などの原因となることだ。
また、速い拍動が長く続くと、心臓に大きな負担がかかって、心不全も起こりやすい。
治療では、まず脳梗塞を起こさないための血栓予防を考え、心不全の予防には血圧や心拍数を調節する治療を行い、そのうえで自覚症状があれば、乱れた脈を正常なリズムに戻すための治療を検討するのが基本的な考え方になっている。
治療法としては薬物療法が中心で、血栓予防には抗凝固薬が、心拍数の調節やリズムの調節には抗不整脈薬が用いられる。
症状が薬で抑えられない場合には、発作を止めるために電気ショック療法を行うほか、最近はカテーーテルアブレーションで根治を図ることもある。
参考 きょうの健康 2015.2
怖い「心原性脳梗塞」
脳梗塞のなかでも最も重症で、たとえ一命を取り留めても寝たきりになったり、介助なしでは歩けないといった後遺症を引き起こすことが多いのが、心原性脳梗塞だ。
脳梗塞には、脳の血管が細くなったり血の塊が詰まったりして起こるものもある。
心原性脳梗塞は、心臓と脳が血管で繋がっているため、心臓でできたゴミ ( 血栓 ) が血管を
流れて脳にたどり着き、大きな血管が詰まってしまう病気だ。
心房細勤の症状
心臓に血栓ができる最大の原因となるのが、心房細勤という不整脈だ。
心房細勤になると、心房が麻痺した状態で血液がスムーズに流れていかないため、心臓のなかに血栓ができやすくなる。
心臓のなかに血栓があるうちは全く症状がないが、これが脳に移動することで、突然半身麻痺や失語、意識障害などの症状が出る。
脈拍のチェックで血栓を防ぐ工夫を
心房細動の自覚症状は、胸がドキドキする、胸苦しい、息切れなど、他の病気でも見られる症状が多いため、自分では判断できない,
全く自覚症状がない場合もある。
自宅で血圧を測っている方は、いつもより脈が時々早くなるようなら、早めに受診しよう。
血圧が下がっているいる原因が心房細動の場合もある。
予防には血栓ができないようにすることが重要で、血栓を防ぐ飲み薬などが有効だ。
また、脱水症状にならないよう注意しよう
(日本不整脈学会のサイトです)