LUTS(排尿障害・尿失禁)

最近になって排尿症状を下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)と表現するようになった。

LUTS は男女とも加齢に伴い増加する。

多くの中高年者が LUTS を生活する上での煩わしさと感じ身近な医療機関を受診する.

患者の訴える LUTS は多彩であるがその内容を把握することは診断、治療への第一歩となる。

LUTS は蓄尿症状,排尿症状,排尿後症状の大きく 3 つに分類される.

1.蓄尿症状
①昼間頻尿:
便宜的に 8 回以上を昼間頻尿と定めることがある。

②夜間頻尿:
夜間睡眠中に排尿のため 1 回以上起きなければならない。
2 回以上になると QOL に障害を起こすとされ治療の対象になることが多い。

③尿意切迫感:
急に起こり抑えられない強い尿意で我慢することができない。
予測できない突然起こる強い尿意。

④切迫性尿失禁:
尿意切迫感と同時または尿意切迫感の直後に不随意に尿が漏れる。

⑤腹圧性尿失禁:
重いものを持ち上げるなど腹圧がかかる労作時または運動時,もしくは咳やくしゃみの際に不随意に尿が漏れる。


⑥混合性尿失禁:
尿意切迫感だけでなく,運動・労作・くしゃみ・咳など腹圧時にも不随意に尿が漏れる。

2.排尿症状
膀胱内の尿を排出する排尿相に感じる。
①尿勢低下:
以前の状態や他人との比較により尿の勢いが弱い。

②尿線分割:
尿線が1本でなく分かれて散る。

③尿線途絶:
尿線が排尿中に1回以上途切れる。

④排尿遅延:
排尿開始が困難で排尿準備ができてから実際に尿が出るまで時間がかかる。

⑤腹圧排尿:
排尿の開始,尿線の維持または改善のため腹圧をかける。

⑥終末滴下:

排尿の終了が延長しポタポタと尿が滴下する程度まで尿流が低下する。
尿の切れが悪いと訴えることが多い。

3.排尿後症状
排尿直後にみられる症状
①残尿感:
排尿後に完全に膀胱が空になっていない感じがする。

②排尿後尿滴下:
排尿直後に尿が出てくる。