扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍

扁桃周囲膿瘍
https://doctorsfile.jp/medication/283/
https://medicalnote.jp/diseases/%E6%89%81%E6%A1%83%E5%91%A8%E5%9B%B2%E8%86%BF%E7%98%8D
症状が進行して首の深い場所に膿がたまったり、縦隔(肺の間を中心に、心臓や気管、食道などが存在する一帯の領域)にまで膿瘍ができたりすると、最悪、死に至ることもある。複数の細菌が原因となっている場合が多い。20~30代の大人に多く、子どもには珍しいことも特徴。

ウイルスではインフルエンザウイルスやEBウイルスなど、細菌では嫌気性菌、化膿性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌などが原因となる。
起炎菌が分からない場合には、嫌気性菌にも効果のある抗菌剤を検討する必要がある。

膿瘍が形成されている部位には血流がなく抗菌薬が届かない。
そのため、膿を十分に排出することが治療の基本となる。

扁桃炎によって生じた炎症が口蓋扁桃を覆っている被膜と咽頭収縮筋(ものを飲み込むときに使う筋肉)の隙間に生じると「扁桃周囲炎」と呼ばれる状態になるが、そこからさらに病状が進むと、主に左右どちらかの扁桃に膿がたまる扁桃周囲膿瘍になる。

子どもは口蓋扁桃の被膜が細かくて分厚いため、炎症が被膜を超えて広がることは少なく、扁桃周囲膿瘍になることも珍しいとされているが、20~30代の大人、特に男性には多く見られる。



(ドクター用)扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍
https://medicalnote-expert.jp/mdn/#/contents/3hciae05bccba01ah25bficbad00bbgcg02hdhgbgi3
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・急性口蓋扁桃炎が重症化し、口蓋扁桃被膜を越えて炎症が波及したものを扁桃周囲炎、さらに口蓋扁桃被膜と上咽頭収縮筋の間の疎な結合間隙に膿瘍を形成した状態を扁桃周囲膿瘍という。

・20~40歳代の成人に多くみられ、小児・高齢者には少ない。
上極型、下極型に分類され、上極型が多い。
また一側性が多いが10%程度で両側性である。

・起炎菌は急性口蓋扁桃炎と同じくA群β溶連菌、肺炎球菌などのレンサ球菌,ブドウ球菌の頻度が高く、膿瘍部位からはPrevotella spp.、Fusobacterium spp.、Peptostreptococcus spp.などの嫌気性菌が検出される。

・グラム陽性球菌、嫌気性菌もカバーする広域ペニシリン系またはセフェム系、カルバペネム系を選択する。
クリンダマイシンは嫌気性菌に耐性化が認められることから併用を控える。