肋骨骨折

・くしゃみや咳などで起きる肋骨の骨折は、小さな力が繰り返し同じ場所に加わることによるヒビのような骨折(疲労骨折)。

・肋骨自体は簡単に折れるような骨ではない。

・肋骨の骨折は、机の角に体をぶつけたり、自動車事故にあったりなど、1回の”大きな"衝撃で起きることが多いが、くしゃみや咳でヒビが入ってしまうケースもある。

・くしゃみや咳をする際、横隔膜や肋間筋が緩んで肺が広がり、肋骨に力が加わる。くしゃみを繰り返し、力が加わり続けると、ちょっとずつ折れることもある。

・例えば花粉症の場合、一度に立て続けにくしゃみをしたり、一日にそれが何回も繰り返し起きるので、毎日昼も夜もしていれば、2~3週間のうちに疲労骨折することは考えられる。花粉症の方は要注意となる。

・くしゃみやせきをしたときに胸の周りが痛いとか、寝返りをしたり、体をひねったり、腕をあげたりすると胸が痛いときは医療機関を受診する。肋骨骨折と診断されたならば、鎮痛剤や湿布で改善する。

・もし痛みが強ければ、胸に巻く”ベルト状のバンド"で圧迫固定をして、胸の動きを抑えると痛みが減る。折れた場合、呼吸運動で痛みがひどくなるので、息を弾ませたり深呼吸は避けた方がよい。これらの治療で、3~4週間で徐々に改善する。

・11、12番目の肋骨の前方は胸骨にはくっついていない。 肋骨骨折の場合、骨折部位に一致した痛みと圧痛、皮下出血、腫脹が現れ、骨折部を軽く圧迫すると軋轢音(骨折部で骨がきしむ音)がすることがある。 体をそらしたり、肩を動かしたりすると痛みが強くなり、また痛みのために深呼吸や咳、くしゃみがしにくくなる。

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診察中、こちらが冗談めいたことを言うと、真顔で「先生、お願いですから笑わせないでください」といわれた経験が数回はあります。

・診断は胸部の触診とX線撮影によって行われる。ただし、肺の影と重なったり、肋骨同士が重なったりするため、骨折が判明しにくい場合もある。また、肋骨の前方部分は肋軟骨となっており、ここでの骨折はX線では確認できない。

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当然のことながら、肋骨と軟骨との接合部の剥離も診断はつきません。臨床経験では、しばしば該当部位の痛みを訴える方がみえます。

 

・治療は肺や心臓、血管の損傷を伴ってさえいなければ、明らかな骨折、不全骨折(いわゆる“ひび”)、X線で骨折がはっきりしない打撲の場合でも、ほぼ同様となる。

 疼痛が軽度な場合には、消炎鎮痛剤の内服と湿布などで経過をみる。 

疼痛がやや強い場合には、バストバンドやトラコバンドとよばれる固定帯による圧迫固定を追加する。 

これらの治療で多くは数週間で軽快する。 

応急処置としては、呼吸運動に伴って胸痛が強まることから、患部(骨折部位)に厚手のタオルなどを当て、これを軽く圧迫することで疼痛を軽くすることがでる。