特発性血小板減少性紫斑病

 

・特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic thrombocytopenic purpura、以下ITPと略します)とは、血小板減少を来たす他の明らかな病気や薬剤の服薬がなく血小板数が減少し、出血しやすくなる病気です。

病気が起こってから6ヶ月以内に血小板数が正常に回復する「急性型」は小児に多く、6ヶ月以上血小板減少が持続する「慢性型」は成人に多い傾向にあります。

また、血小板数が10万/μL未満に減少した場合、この病気が疑われます。

・成人ITPの多くは慢性型であり、副腎皮質ステロイドで治癒するのは20%程度です。

従来は、ステロイド無効例では脾摘が積極的に行われていました。

脾摘によりITPの約60%の方が薬を止めても血小板数が10万/μL以上を維持できるようになります。

院長コメント;

脾摘にはoverwhelming post splenectomy infection(OPSI)という発症すれば致死率が高い合併症があります。

OPSIの起炎菌は、肺炎球菌が最多であり,5年おきの適切なワクチン接種が必要でといわれています。

当院でも、某大学病院にC型肝炎で通院中の方でインターフェロン使用にあたって脾摘を受けたため、OPSIが原因で亡くなられたケースを経験しています。

(当院には、病院の指示による強力ネオミノファーゲンC注射のために通院されていました)

苦い経験です。

それ以来、脾摘には慎重な立場です。

 

・しかし、近年、TPO受容体作動薬やリツキシマブが使用可能となり、選択肢が広がっています。TPO受容体作動薬は有効率が高く、副作用も軽度ですが、通常、継続的な治療が必要です。

リツキシマブの有効率は脾摘やTPO受容体作動薬よりやや劣りますが、治療は1ヶ月で終了します。これらの治療が無効である難治性症例も少数ですが存在し、ITPの診断の再確認が必要な場合があります。