胃がん

・胃がんそのものは遺伝しませんが、祖父母、両親、兄弟に胃がんになった人がいる場合には注意が必要です。

Emr(内視鏡的粘膜切除) ・Esd(内視鏡的粘膜下層剥離)

・胃がんに対する内視鏡切除術には大きく2つの方法Emr(内視鏡的粘膜切除術)とEsd(内視鏡的粘膜下層剥離術)がある。

・従来はEmrにて治療が行われていたが、大きな病変だと分割切除になり、遺残・再発の危険性があるという問題点があった。

・しかし、Esdの開発、進歩により現在では大きさ、周在性にかかわらず一括切除可能となった。

・内視鏡的切除の適応は、リンパ節転移の可能性が極めて低く、腫瘍が一括切除できる大きさと部位にあることが原則となる。

・「胃癌治療ガイドライン 2018年1月改訂 第5版」では、絶対適応病変は、(1)肉眼的粘膜内癌(Ct1a)と診断される分化型癌(pap, tub1, tub2)で潰瘍(Ul)を認めないもの、

(2)3cm以下のUl(+)の分化型粘膜内癌(Ct1a)

とされている。

・また、2020年発行の「胃癌に対するEmr/Esdガイドライン(第2版)」にて、これまで適応拡大病変であった(2cm以下のUl(-)の未分化型(por1, por2, sig)粘膜内癌(Ct1a)に関しても、多施設共同前向き試験の結果により絶対適応病変に加わった。

・絶対適応以外の病変に対しても、最近の治療器具や内視鏡手技の向上により一括切除が可能となってきた。

・一部の病変は適応拡大病変として臨床研究の扱いで内視鏡治療の適応となる場合がある。

・EmrもしくはEsdにより切除された検体は、局所の完全切除とリンパ節転移の可能性なしという2つの要素によりその根治性が評価される。

・腫瘍の一括切除の可否、腫瘍径、組織型、深達度、水平・垂直断端陰性、脈管侵襲陰性、これらすべてが基準を満たした場合を治癒切除とする。

その場合も年1~2回の内視鏡検査による経過観察が望ましい。