褐色細胞腫

褐色細胞腫

副腎髄質または副腎外傍神経節のクロム親和性細胞に由来し、カテコールアミンをはじめとする各種生理活性物質を生成・分泌する神経内分泌腫瘍である。

罹患患者では、カテコールアミンの過剰分泌により、高血圧、頭痛、動悸、発汗、便秘など、多様な臨床症状を呈し、糖代謝異常や脂質代謝異常を合併する。

このカテコールアミン分泌過剰状態が持続すると、心血管系臓器に障害を生じ、心血管関連事象のリスクが高まる。

さらに、突発的なカテコールアミン大量放出が誘発されることで、発作性の血圧上昇(高血圧クリーゼ)から致死的な心血管事故が惹起される可能性がある。

 

国内のガイドラインでは、褐色細胞腫治療の第一選択は手術療法であるが、確定診断後は周術期および非手術例の血圧管理と心血管系合併症の予防を目的として、α1遮断薬ドキサゾシン(カルデナリン他)などの交感神経遮断薬が使用されている。

また、悪性褐色細胞患者の慢性的治療として、β遮断薬を含む交感神経遮断薬も使用されている。しかし、既存の薬剤は褐色細胞腫による血圧上昇をコントロールするのみで、褐色細胞腫そのものを治療する薬剤は国内では承認されていなかったが、2019年1月8日、チロシン水酸化酵素阻害薬メチロシン(商品名デムサーカプセル250mg)の製造販売が承認された。

 

 

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