脳動脈解離

特発性椎骨動脈解離

首から脳に向かって血液を送っている動脈は主に4本ある。

左右の「内頚動脈」(2本)と左右の「椎骨動脈」(2本)で内頚動脈は首の前側に、椎骨動脈は首の後ろ側にある。

これらの動脈は「内膜+内弾性板」「中膜」「外膜」から成る3層構造をしている。

これら3層を合わせて「動脈壁」と呼ぶ。

動脈解離は、動脈壁のうち内弾性板が断裂し、血液が中膜の平滑筋層内に流れ込んで、「偽腔」(動脈が裂けたことによってできる血液の通り道)を形成することで発生する。

 

首の後ろの血管(椎骨動脈)が傷つき、そこから血液が流れ込んで血管が裂けて脳卒中を起こす病気。

頭痛などをきっかけに発症に気づくことがある。脳卒中全体の2%程度だが、働き盛りの世代を含む15~45歳の脳卒中患者の1割程度を占め、うち2割近くが亡くなったり後遺症が残ったりするが、根本治療がない。

 

動脈壁が3層とも断裂すると、くも膜下出血を生じる。

また、偽腔(動脈が裂けたことによりできる血液の通り道)ができることで真腔(血液が元々流れていたところ)が狭まったり塞がったりすると、脳梗塞を生じる。

 

 

椎骨動脈解離の原因

脳の動脈(心臓から全身の組織や臓器へ血液を運ぶ血管)のうち、動脈解離が発生する箇所は椎骨動脈が大半です。椎骨動脈は日常的な首を回す運動で伸びてしまうことがあり、これは内弾性板という部位が負荷を受けやすいことが一因と考えられています。例えば、交通事故、ゴルフのスイング、カイロプラクティック、首をひねって音を出す動作などが、椎骨動脈解離の発生につながると報告されています。また、外傷と無関係な発症要因として、喫煙の関与も考えられています。

 

 

椎骨動脈解離の初期症状

首の後ろや後頭部に突然痛みが起きるのが特徴。

動脈壁が断裂した際に、痛みを生じると考えられている。

なお、痛みの強さは肩こり程度に感じる場合もあれば、経験したことがないような強い痛みの場合もある。

 

 

 

番外編

<「殿様枕症候群>

高い枕で寝ると脳卒中になりやすい。脳卒中の原因の一つ、特発性椎骨動脈解離は、高い枕で寝る人ほど発症率が高いことが、国立循環器病研究センター(国循)の研究チームの分析で明らかになった。

 

研究チームは「殿様枕(とのさままくら)症候群(英語名=Shogun pillow syndrome)」という新しい病気の概念を提唱。何げない睡眠習慣が脳卒中のリスクになり得ることを認識し、予防につなげたいという。

 

研究チームは「殿様枕(とのさままくら)症候群(英語名=Shogun pillow syndrome)」という新しい病気の概念を提唱。何げない睡眠習慣が脳卒中のリスクになり得ることを認識し、予防につなげたいという。

 

枕が高いと首の屈曲につながるほか、寝返りなどで首が回るときに血管が傷つくことが考えられるという。さらに枕が硬いと発症との関連が強く、やわらかい枕だと緩和される傾向がみられた。

https://mrkun.m3.com/mrq/logincampaign/0000163094/208229/priority_mx_login/viewDetail.htm

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