二次性高血圧症

高血圧が起こりやすい原因の1つに、遺伝的体質を受け継ぐことが挙げられる。
また、遺伝的体質ではなく、高血圧が起こりやすい生活習慣を親から受け継いでいる場合もある。
親に高血圧があった場合は、注意が必要となる。

 

高血圧の多くは、はっきりとした原因もなく起こるが、1~2割程度の人で、ほかの病気が原因となって血圧が高くなっていることがある。
このような高血圧を二次性高血圧という。
 
二次性高血圧が疑われる場合
下記の項目に当てはまる場合は、二次性高血圧が疑われる。
□ 若年で高血圧を発症した
□ 血圧が急に上昇した
□ 血圧が非常に高い
□ 薬をのんでも血圧が下がらない

二次性高血圧の原因となる病気には、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群、さまざまな腎臓病などがある。
 
例えば原発性アルドステロン症であれば、血液中のホルモン量を測ることで診断が可能で、早期発見して治療すれば、血圧は正常になる。
 
項目の4つ目にある「薬をのんでも血圧が下がらない」というのは、具体的には、生活習慣の改善を行ったうえで、3種類以上の高血圧の薬を服用しても血圧が十分に下がらない場合だ(治療抵抗性高血圧)。
また、若い人でなく中高年でも、若いころから二次性高血圧があったことに気付かず、ずっと血圧が高いままというケースもある。
もし、降圧剤をのんでもなかなか血圧が下がらないような場合は、循環器専門医(当院院長も「日本循環器学会専門医」)に相談するようにしたい。

・原因を特定できない高血圧を本態性高血圧とよび、高血圧症全体の9割とされている。本態性高血圧は、複数の遺伝子と環境因子が関与する多因子疾患だ。
一方、原因を特定できる高血圧を二次性高血圧とよび、
①腎実質性
②腎血管性
③内分泌性
④血管性
⑤脳・中枢神経性(脳幹部血管圧迫
⑥薬剤誘発性
などに分類される。

・③内分泌性高血圧には、先端巨大症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、レニン産生腫瘍などがある。
レニン産生腫瘍は腎臓の傍糸球体細胞腫や異所性レニン産生腫瘍からレニンが過剰に分泌され二次性高血圧をおこす。
17α水酸化酵素欠損症は先天性副腎皮質酵素欠損症(先天性副腎過形成症)のひとつで、思春期より高血圧症、低カリウム血症、副腎過形成症を示す。
薬剤誘発性高血圧として、非ステロイド性消炎鎮痛剤(プロスタグランジン産生障害)が最多。漢方薬に含まれる甘草(グリチルリチン)が起こす偽性アルドステロン症も重要で、原発性アルドステロン症と同様の低カリウム血症を伴うため偽性アルドステロン症と呼ばれる。
薬剤誘発性高血圧は、他にステロイド、交感神経刺激薬、抗癌剤や一般薬、サプリメント、漢方、健康食品が原因となることがある。