耳鼻科

めまい

急にめまいを感じたら

めまいには、グルグルと目が回るめまい、フラフラするめまい、意識が遠くなるめまいなと、いくつかタイプがあります。

 

なかでも、頻度が高いのは、良性発作性頭位めまい症というめまいです。

体を起こしたり,寝返りをうつなど、頭を動かすたびにグルグルと目が回ります。

耳のなかの内耳にあるカルシウムでできた耳石の一部が剥がれて、バランスをとっているセンサーである三半規管に入り込むことによりめまいが起こります。

治療法の一つに、耳石を元の場所に戻す理学療法があります。

 

ただし、めまいが起きた時に、ろれつが回らなかったり、物が二重に見えたりした場合は、脳卒中によるめまいの疑いがあります。

すぐに医療機関を受診しましょう。  

 

 

ある日、突然に聞こえなくなったら

突発性難聴は、ある日、突然に耳の聞こえが悪くなる病気です。

めまいを伴うこともあります。

 

原因はよく分かっていませんが、内耳の聞こえとバランスのセンサーに異常が起きると考えられています。早めの治療が大切ですので、急に聞こえが悪くなったら、すぐに医療機関を受診してください。

 

参考

日医ニュース 2016.5.20

 

 

 

「めまい」の診断の歴史  豆知識

初めて耳鼻科医として1914年にノーベル医学賞を受賞したのはオーストリア出身のロベルト・バラニーで、現在も用いられている温度眼振検査(カロリックテスト)などを見いだし、めまい平衡障害の検査法の基礎を確立した功績に対して授賞されたものだった。

 

温度眼振検査とは耳に水、湯などを入れて三半規管の反応を見る検査だ。その発見のきっかけは、あるとき若い医師が患者の耳を洗浄するために水を入れたことで、めまいを起こすと同時に眼振が観察されたことだっだ。バラニーが他の患者に同様の試みをしても同じ現象が認められた。

 

そのメカニズムは、例えば20度の水を耳の中に注入すると、鼓膜の奥にある三半規管に刺激が到達する。三半規管の中には体温と同じ36度程度のリンパ液が入っており、その温度差が刺激となってリンパ液は対流を起こす。まさしく、熱いお風呂に冷たい水を入れたような状況だ。

 

鼓膜に一番近い外側半規管内で強い対流が起こり、めまいに近い状態が起こる。三半規管と眼は神経でつながっているため眼球が動き、眼振が起こる。対流が弱まるにつれ、めまいと眼振は消失する。

  

三半規管が壊れていると水を入れても対流は起きず、めまいも眼振も生じない。つまり水を入れてもめまいが起きない場合は、三半規管の機能低下が示唆される。

 

そして、現在では水を入れない三半規管の最新機能検査、ビデオヘッドインパルス検査(VHIT)がある。患者は赤外線カメラと加速度センサーを備えた専用ゴーグルを装首して、医師が患者の頭を前後左右に動かした際の眼球の動きを計測・解析する。

 

耳に水を入れる必要はなく、左右6個ある三半規管それぞれの詳細な状態が明らかとなるようになった。

(日経新聞・夕刊 2024.7.1)