● コレステロールは身体に必要なものです。
コレステロールは人間の身体を形成している細胞膜の構成成分としての役割があり、とても重要なものです。
また、コレステロールは肝臓で作られる胆汁酸や副腎で作られるステロイドホルモンなど、生理的に必要な物質のもととなっています。
コレステロールはいわゆる「脂(あぶら)」なので、そのままでは血液の中にうまく混ざり込むことができないため、水に溶ける性質を持っているたんぱく質と結合して、「リポたんぱく」と呼ばれる粒子になって血液中に存在しています,
● コレステロールには、「善玉」と「悪玉」があります。
「善玉」、「悪玉」のコレステロールには、それぞれどのような役割があるかご存知ですか?
「悪玉」と呼ばれる「LDLコレステロール」には、肝臓で作ったコレステロールを体内の細胞へ運ぶ役割があります。
また、「善玉」と呼ばれる「HDLコレステロール」にはいろいろな臓器で使い切れず余ったコレステロールを肝臓へもどす役割があります。
ところが、LDL(悪玉)コレステロールが増えすぎると、血管の壁に必要以上にコレステロールがたまってしまい、血管の動脈硬化を進行させてしまうことになります。
これが、LDLコレステロールが「悪玉」と呼ばれるゆえんです。
● 血管の中では動脈硬化が進行!
LDL(悪玉)コレステロールは、血液中に増えすぎると、血管壁に入り込み、そこで酸化され、「酸化LDL」となります。
実はこれが本当の「悪玉」の正体です。
この「酸化LDL」はマクロファージという細胞に取り込まれて、血管の壁にプラークと
呼ばれるこぶをつくります。
こぶがどんどん大きくなると血管壁が厚くなって血管が狭くなり、血液が流れにくくなります。
これが動脈硬化です。
LDLコレステロール値が高いのに、自覚症状がないからといって放置しておくと、知らぬまに血管では動脈硬化が進行してしまい、とても危険です。
● 厚生労働省の調査では日本人成人の3人に1人は脂質異常症(高脂血症)
日本人の死因の第1位はがんです。
しかし、第2位の心疾患、第3位の脳血管疾患を合わせると、日本人の3分の1は動脈硬化が
原因で起こる血管の病気で亡くなっていることになります。
動脈硬化を原因とする病気がこれほど多いのは、やはりコレステロール値が高くなって起こる脂質異常症(高脂血症)の増加が一番の理由と言えるでしょう。
日本人はもともとコレステロール値の低い国民でした。
それが今では米国人のレベルにまで増えてしまっており、日本人成人の3人に1人は脂質異常症であるというデータもあります。
これには食事の欧米化や交通機関の発達などによる運動不足などのライフスタイルの変化が大きく影響しています。
また、遺伝的にLDLコレステロールが増えていく疾患もあります。
● あなたが思っているより、ずっと危険な状態かもしれません。
血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が過剰な状態またはHDL(善玉)コレステロールが少ない状態を脂質異常症(高脂血症)といいます。
普通は血液検査をして初めて分かる病気です。
この脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、その危険性に気づかないことが多く、
気づいた時には、もう手遅れの場合もあるのです。
脂質異常症の状態が続くと動脈硬化は進展していきます。
そして、動脈硬化によって、血液の流れが滞ったり、血管がダメージを受けたり・・・最後には、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを発症することになってしまうのです。
脂質異常症を放っておくと、突然、命にかかわる重大な事態になることもありえるのです。
● 危険因子が増えるとリスクもアップ!!
動脈硬化が原因で起こる心筋梗塞・狭心症や脳梗塞などは、LDL(悪玉)コレステロールのほかにも様々な危険因子があります。
加齢、高血圧、糖尿病、喫煙、慢性腎臓病(CKD)、末梢動脈疾患(PAD)などに加えて、家族が心筋梗塞・狭心症にかかったことがある方も要注意です。
LDL(悪玉)コレステロールが高い上に、これらの危険因子を多く持っていればいるほど、心筋梗塞・狭心症や脳梗塞などを引き起こすリスクが高くなります。
リスクが高い方は、より厳格にLDL(悪玉)コレステロールの管理をすることが必要です。
「アステラス製薬(株)パンフ」より