狭心症とは

労作性狭心症

 動脈硬化が原因の場合運動をしたときなどに症状が起こりやすい

 

■典型的な症状が現れるタイプ

締めつけられるような胸の痛みが起こります。

それに伴い、強い動悸や息苦しさ、冷や汗、吐き気などが現れます。

 

狭心症の場合、これらの症状は通常5~10分間ほどで治まります。

症状を抑える薬を使っても治まらずに、30分間以上長く続く場合は、心筋梗塞が疑われます。

 

狭心症があるのを放置していると、突然、心筋梗塞を起こすおそれがあります。

たとえ数分でも胸の辺りに明らかな症状を感じた場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

 

高血圧など、すでに危険因子がある場合は、循環器科など専門医のいる医療機関を受診してください。

症状が長く続く、つらい、脂汗が出るといった場合は、すぐに救急車を呼んでください。

 

■関連痛が現れるタイプ

狭心症では、心臓とは関係がないと思われる離れた場所に、痛みなどの症状が現れることがあります。

原因となる場所から離れたところに感じるこれらの痛みを関連痛(放散痛)といい、主に上半身に起こります。

 

通常、狭心症が起こると、心臓から痛覚神経を経て脊髄、脳へと刺激が伝わり、「胸が痛い」と感じます。

脊髄には、歯や肩、腕、背中、胃などからも痛覚神経がつながっており、心臓からくる痛覚神経と同じ束になっています。

狭心症によって心臓から脊髄に刺激が伝わるときに、これらの痛覚神経に刺激が伝わり、その結果、ほかの場所に痛みを感じるのです。

 

狭心症では、関連痛だけ現れる場合もあります,

ただそのような場合でも、多くの場合、早期発見のためのヒントがあります。

 

狭心症の多くは、運動時や興奮時など心臓の活動量が増えたときに起こります。

つまり、運動をしたときに症状が現れるか否かがヒントになります。

また、「通勤時に階段を上ると歯が痛む」「散歩中の坂道でいつも肩こりを感じる」など、同じ行動をとるときに再現性をもって起こることも大きなヒントです。

スポーツをしたとき、怒って興奮したときなどに限って症状が現れる場合は、狭心症の疑

いがあるので必ず受診してください。

 

■症状を感じにくいタイプ

早期発見が難しいケーースとして、症状を感じにくいタイプの場合があります。

「軽い息苦しさ」くらいしか感じないというタイプで、糖尿病のある人や高齢者に多く見られます。

糖尿病や加齢の影響で神経が障害されているため、狭心症が起こっても痛みを感じにくくなっているのです。

 

糖尿病があり血糖値を十分に下げられていない人、腎機能が低下している人、特に70歳以上で動脈硬化の要因である脂質異常症、高血圧、肥満、喫煙の習慣のいずれかがある人は要注意です。

これらのリスクがある人は、狭心症や心筋梗塞を起こす可能性が高いので、最低でも年にI回は、心臓の検査を受けてください。

 

参考・引用

きようの健康 2017.11 

安静時(冠れん縮)狭心症

血管けいれん型 睡眠時や安静時に症状が起こるタイプ

動脈硬化が原因の狭心症とは逆に、安静時に起こるタイプの狭心症があります。

睡眠中の深夜または早朝に、突然冠動脈がけいれんして一時的に狭くなるもので、血管けいれん型(冠れん縮性)狭心症といいます。

 

血管けいれん型の狭心症では、血管の拡張や収縮をコントロールしている自律神経のバランスの微妙な乱れが影響していると考えられています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、睡眠中は血管を広げる副交感神経が優位になり、起床時は血管を縮める交感神経が優位になります。

そのバランスが崩れるために、深夜または早朝に冠動脈のけいれんが起こるのです。

 

血管けいれん型の多くは、胸の痛みや息苦しさなどの典型的な症状が現れて、目が覚めるため、症状を自覚できます。

 

■喫煙者や若い人に多い

日本人には、血管けいれん型の狭心症が多く、狭心症全体の約40%を占めると考えられています。

特に、喫煙者や比較的若い働いている世代に多く起こります。

 

喫煙は、自律神経のバランスを乱すうえ、血管を広げる作用のある一酸化窒素の働きを阻害します。

また、日常生活の肉体的・精神的なストレスで、自律神経のバランスが乱れることがあります。

 

血管けいれん型の狭心症は、初めて起こった場合でもいきなり心臓が止まってしまい、突然死に至ることがあります。

 

特に喫煙者は、十分な注意が必要です。

 

参考•引用 

「きょうの健康」 2017.11

 

 

 

冠攣縮性狭心症

https://medicaldoc.jp/cyclopedia/disease/d_heart/di0603/

・冠攣縮性狭心症は冠動脈の攣縮(れんしゅく)による疾患です。

冠動脈の比較的太い部分が攣縮という一時的な痙攣により収縮することで胸が苦しくなります。

微小血管狭心症は冠動脈末梢の細い部分の拡張不全や攣縮により虚血症状が出現する疾患です。

・冠動脈の攣縮の原因として、血管の内皮機能異常(内皮細胞からの一酸化窒素の産生低下)が考えられています。

・胸痛発作の多くは夜間や明け方、安静時に出現します。

労作性狭心症と比較すると痛みが持続する時間が長いことが多く、その持続時間は数分から15分程度です。

・発作時に行う薬物治療と発作の予防のための薬物治療があります。

発作時の治療として代表的なものは硝酸薬です。

ニトログリセリンや硝酸イソソルビドなどの硝酸薬を使います。

発作の予防にはカルシウム拮抗薬が第一選択薬として知られています。

カルシウム拮抗薬は冠動脈の攣縮を抑える作用があります。

カルシウム拮抗薬に抵抗性の冠攣縮性狭心症に併用が検討される薬剤として、ニコランジルがあります。

難治性の冠攣縮性狭心症に対してファスジル(Rhoキナーゼ阻害薬)の冠動脈内投与などの治療を行うこともあります。

冠攣縮性狭心症の危険因子は動脈硬化性の疾患とほぼ同様と考えられています。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、過剰飲酒、肥満などが代表的な危険因子です。

その中でも喫煙は冠攣縮性狭心症の危険因子として突出しており、禁煙は生活習慣の管理の中で特に重要です。

過剰飲酒により発作が誘発されることも冠攣縮性狭心症の特徴であり、節酒が重要です。

特に飲酒後に顔が赤くなりやすいタイプの人(2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人)は冠攣縮性狭心症になりやすいと言われており、注意を要します。

冠攣縮性狭心症の発作は飲酒中よりも飲酒後数時間経ってから起きることが多いと言われています。

飲酒によりマグネシウムの尿への排泄が増えた結果、組織のマグネシウム欠乏が起こることが機序の一つとして考えられています。