発熱患者への解熱剤の功罪
理論上、感染症での発熱は生体の防御反応というプラスの意味もあるが、生体の酸素需要を増大させる。解熱剤には酸素需要の増大を抑制する(発熱患者はラクになる)というプラスの面がある一方で、生体の防御反応を抑制させてしまうというマイナスの影響が考えられる。
これらはあくまで理屈の上での話であり、それを裏付けるはっきりとしたエビデンスは意外と存在しない(Harrison's Principles of Internal Medicine 21/E . 2022,
バイブル的な教科書)。
したがって現時点では、ウイルス感染症や細菌感染症で発熱を不快と感じ解熱を希望している患者さんに、解熱剤の使用を躊躇する必然性はないことになる。
ただし、処方する側は、解熱剤の副作用に配慮する必要であり、乱用を避けることは当然のことである。