中年以降の女性に多くみられ、年間発症数は約1500人と推定されている。
発症の原因は不明だが、自己免疫の関与が考えられている。
通常、免疫反応は細菌など体にとって異物であるものに反応するが、これが自分の体や細胞に対して反応するものを自己免疫と呼んでいる。
自己免疫性肝炎は、ほかの自己免疫疾患(関節リウマチ、自己免疫性甲状腺炎、特発性血小板減少症、シェーグレン症候群など)を合併することもある。
また、脂肪肝を伴うこともあるが、これが自己免疫性肝炎に悪影響を及ぼすことは少ない。
疲れやすさなどを自覚することもあるが、特に初期では特徴的な自覚症状はほとんどなく、一般的には、血液検査の異常で発見される。
まれに肝機能が急激に悪化することがあり、この場合は黄疸などの症状が現れる。
血液検査ではASTやALTなど肝細胞が破壊されると、血液中に放出される酵素の数値が高くなり、免疫異常を反映する抗核抗体が陽性になるのが特徴だ。
また、免疫グロブリンというたんぱくの中でもでIgGが高値になる。
確定診断には肝生検が必要となる。
治療にはステロイド薬を内服する。
これで十分な効果が出ない場合には、アザチオプリンなど免疫を抑える薬を併用する。
通常、長期間にわたる治療が必要になる。
肝硬変に進行する場合があるが、きちんと治療すれば進行を食い止めることができる。
日常生活では肝臓への負担を軽くするためにお酒を控え、たんぱく質が豊富で脂肪分
が少ない食事を心がける。