甲状腺機能低下症(治療上の注意点)
・甲状腺ホルモン分泌が低下している状態であり,一過性のものも,永続性のものもある.
・成人の甲状腺機能低下症の原因の大部分は自己免疫による慢性甲状腺炎,すなわち橋本病である.
・甲状腺機能低下症の治療は,原因療法ではなく,甲状腺ホルモン投与で血中ホルモン濃度を正常に保つ,補充療法である.
・永続性の甲状腺機能低下症では,生涯内服継続が必要である.
・一般成人の 2.5%と,頻度は高い.
・高コレステロール血症や CPK 高値のときは,疑って検査をする.
・超音波などで,甲状腺癌の除外を行う.
検査・診断
FT4低下,FT3低下,TSH 上昇,抗サイログロブリン抗体陽性,抗マイクロゾーム抗体(または抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)陽性,甲状腺超音波(エコー),必要に応じ甲状腺穿刺吸引細胞診,副腎皮質機能(血中コルチゾールなど).
慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン(2013)
a)臨床所見
①びまん性甲状腺腫大
ただしバセドウ病など他の原因が認められないもの
b)検査所見
①抗甲状腺マイクロゾーム(またはTPO)抗体陽性
②抗サイログロブリン抗体陽性
③細胞診でリンパ球浸潤を認める
慢性甲状腺炎(橋本病)
a)およびb)の1つ以上を有するもの
【付記】
①他の原因が認められない原発性甲状腺機能低下症は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする.
②甲状腺機能異常も甲状腺腫大も認めないが抗マイクロゾーム抗体およびまたは抗サイログロブリン抗体陽性の場合は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする.
③自己抗体陽性の甲状腺腫瘍は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いと腫瘍の合併と考える.
④甲状腺超音波検査で内部エコー低下や不均一を認めるものは慢性甲状腺炎(橋本病)の可能性が強い.
甲状腺機能低下症(橋本病)とは
https://medicalnote.jp/contents/150713-000001-HYYQUF
甲状腺機能低下症(橋本病)の症状
https://medicalnote.jp/contents/150713-000002-SIRJLP
甲状腺機能低下症(橋本病)の治療。レボチロキシン(チラーヂンS®)の内服
https://medicalnote.jp/contents/150713-000003-UDLNDV
甲状腺機能低下症(橋本病)と妊娠、日常生活の注意点