重症筋無力症(指定難病11)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/120
・特異的な病気のマーカーである自己抗体(アセチルコリン受容体抗体、MuSK抗体)の測定が多くの施設で可能になり(検査会社に委託)、早期診断・早期治療が行われるようになったため予後は比較的良好です。約半数の患者は、発症後に日常生活や仕事の上で支障のない生活を送ることができます。その中には、完全に治療が不要になる人は6%程度で、その他の患者さんは治療を継続しています。一方で、治療によってもあまり改善のない患者が10%ほどいます。
・ステロイド薬や免疫抑制薬を服用中であっても、少ない量で病状がコントロールされていれば健常人と何ら変わることの無い生活を送ることが出来ます。注意する点として、次のようなことがあります。1)ステロイド薬などの免疫抑制薬を服用中の場合は、生ワクチンの予防接種を受けることは出来ません。インフルエンザなどの不活化ワクチンの接種は支障なく、これらの疾患にかからないために、むしろ積極的に受けるべきです。
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重症筋無力症とは
・運動を続けた後や、夕方、疲れが出る時間帯にだけ症状が生じる場合もあるため、「なまけている」とか「心の問題」などと誤解される場合もあります。
・発症年令は小児から高齢者まで幅広いのですが、最近では高齢になってから発症する方の頻度が増加傾向にあります。
・眼瞼下垂,眼球の動きの障害はしばしば左右差を示します。全身症状は左右ほぼ対称な場合が多いのですが、まれに左右どちらかの片側麻痺や一本の腕や脚の麻痺の様な分布がみられることもあります。
重症筋無力症患者さんの約半数は発症時には眼筋症状のみ呈しますが、そのうち半数以上は2年以内に全身型に進展します。
こうした症状は、反復動作、持続運動で明らかになりやすく、「易疲労性(いひろうせい)」と呼ばれます。
・もし、心当たりの方がいらした場合、専門医を受診ください。
髪を洗ったり、ドライヤーで乾かしていると腕がだるくなりやすい
歯を磨いていると腕がだるくなりやすい
雑巾がけで腕がだるくなりやすい
お盆で運んでいると、載せたものを前方に落としてしまう
手作業が長く続かず、休息しながら行っている
走っているうちに脚が動かなくなる
階段を続けてのぼれない
歌を歌っていると、鼻声になる
音読を続けるとろれつがまわらなくなる
硬い物を噛んでいるとあごが疲れてくる
飲み物を一気に飲もうとすると、むせたり、鼻に逆流する
午後の授業では、黒板の字がだぶって見える
帰宅時の運転の時にセンターラインが二重に見える
午後にまぶたが下がってくる
・重症筋無力症の重症度を評価する「QMGスコア」
http://www.mgjp.org/pdf/qmg.pdf
ステロイド治療について
・近年、治療成績などの解析から、「より高用量、より長い期間、副腎皮質ステロイドを服用することと、良好な改善状況には、実は、関連が無い」ことがわかってきました。
・長期の経口副腎皮質ステロイドは1日量で5mg以下が推奨されています
現在の治療の基本的な考え方
1 重症筋無力症では治療のしかたに関わらず完治は少ない。長期的、多くの場合、生涯にわたるため、治療当初から患者さんのQOLを低下させない治療を行う。
2 早期から強力な治療を行い、症状をなるべく早く改善する
3 カルシニューリン阻害薬などの免疫調節薬を上手く用い副腎皮質ステロイドは少量に留める
4 抗コリンエステラーゼ薬(メスチノン、マイテラーゼ)は一時的に症状を軽くするが、病態を改善させる効果はない。補助的使用にとどめ、免疫治療主体とする。
5 胸腺摘出の適応は一部の患者に限られる
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重症筋無力症とは?―体のさまざまな部分で力が出しにくくなる病気
https://medicalnote.jp/contents/150812-000015-BVWVFK
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重症筋無力症の症状は?―至急受診すべきクリーゼとは
https://medicalnote.jp/contents/150812-000016-MWZWOU
・約半数の患者さんの場合、重症筋無力症は眼瞼下垂や複視だけを主訴(もっとも強く訴える症状)とする「眼筋型重症筋無力症」として発症します。そのうち50~60%の患者さんが、発症2年以内に全身型重症筋無力症に移行するといわれています。
・高齢者の場合は、全身型に移行するケースは31%とやや低頻度で、全経過を通じて眼筋型に留まる頻度が高いといわれています。また、眼筋型と軽症全身型との区別は困難な場合があります。
・重症筋無力症患者が呼吸困難をきたして急速に増悪し、呼吸不全に陥って人工呼吸器管理が必要となった状態を「クリーゼ」と言います。多くの場合、呼吸筋の筋力低下だけでなく、誤嚥や構音障害を伴います。
経過中にクリーゼを経験する症例は11-15%であり、診断確定2年以内に生じやすく、高齢者・若年女性・嚥下障害を有する患者、胸腺腫合併例で生じやすいと言われています。
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重症筋無力症の治療は?―4種類の治療はどう選択されるか
https://medicalnote.jp/contents/150812-000017-DKPSZM
・治療は大まかに
胸腺摘除術
経口免疫療法
非経口免疫療法
対症療法
に分けられます。
また費用は、使用する薬剤、特定疾患の認定状況、特定疾患認定患者の場合は家族を合わせた総収入によって左右されます。
罹病期間の短い患者に対しては免疫抑制剤(シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤とタクロリムス)がより有効であると言われています。
脳梗塞の原因-危険因子は何か?
https://medicalnote.jp/contents/160219-015-OP
脳梗塞の種類と原因
脳梗塞は3つのタイプに分けられます。脳の細い血管が詰まるラクナ梗塞、比較的太い血管が動脈硬化で詰まるアテローム血栓性脳梗塞、そして心臓から血栓(血のかたまり)が血流に乗って脳の血管を詰まらせる心原性脳塞栓症です。
● ラクナ梗塞
直径15mm以下の小さな梗塞で、高血圧が主な原因であるといわれています。細い血管が詰まるのが特徴です。
● アテローム血栓性脳梗塞
頭蓋内や頸動脈などの太い血管の内部がアテローム(粥状になったコレステロール)による動脈硬化で狭くなり、そこに血栓ができて詰まるものです。
● 心原性脳塞栓症
心房細動で心房内にできた血栓が血流に乗って脳の太い血管に詰まるものです。
(図:日本脳卒中協会/ファイザー株式会社)
図:日本脳卒中協会/ファイザー株式会社