パーキンソン病の薬物治療
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パーキンソン病には下のようにさまざまなお薬があります。それぞれに特徴があり、患者さんの症状や年齢、活動度に応じ、医師が、薬の種類、服薬量、組み合わせを考えて、処方します。パーキンソン病は、脳内のドパミンが不足して起こるため、それを補うL-ドパやドパミンの代わりに作用するドパミンアゴニストが治療薬の中心となります。
L-ドパ
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L-ドパは、ドパミンの前駆物質(一つ手前の化合物)で、パーキンソン病の脳で不足しているドパミンを補うためのお薬です。ドパミンそのものは血液から脳に入るための関所(血液脳関門)を通過できないため、服薬しても効果を示しません。一方、L-ドパは、血液脳関門を通過して脳内のドパミン神経に取り込まれてドパミンに変わり、蓄えられ、神経から遊離されて症状を改善します。
L-ドパはよく効くお薬ですが、服薬したあと血液中にとどまる時間が短い(1時間強)という欠点があります。それでも病気の軽い間は神経の中にドパミンを蓄える能力があり長く効果が続きますが、病気が進行し、ドパミンを蓄える能力が低くなってきますと、ウェアリング・オフ現象(次の薬を飲む前にパーキンソン症状が現れる)が生じるようになります。このような持続しないドパミンの供給が続きますとジスキネジア(手足や口が勝手に動く症状)が現れるようになります。
ドパミンアゴニスト
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ドパミンアゴニストは、ドパミン受容体に直接作用することにより、パーキンソン病で足りなくなったドパミンの作用を補い、症状を改善します。薬剤の化学構造の違いにより、麦角系と非麦角系のドパミンアゴニストがあります。
L-ドパと比べると効果は劣りますが、作用時間が長いという特徴があります。軽症、早期のパーキンソン病治療に適しています。この薬で治療を始める(L-ドパ治療の時期を遅らせる)ことで、L-ドパ治療に伴った運動合併症(ウェアリング・オフ現象やジスキネジア)の発現を遅くすることに役立ちます。副作用としては、投与初期に悪心・嘔吐がみられます。また、L-ドパと比べ、幻覚・妄想の発現頻度が高いとされています。
ただし、注射剤のアポモルヒネは、注射後10分くらいから効果が発現し、1時間程度で効果が消失するため、他の抗パーキンソン病治療で効果の持続が短く、急に動けなくなったとき(オフのとき)に、動けるようにするための薬剤です。
・L-ドパより効果は弱いですが、効果が持続します。
・この薬剤で治療を始めることで、L-ドパ治療に伴った運動合併症の発現を遅くできます。
・年齢が若く、軽症の場合はドパミンアゴニスト単独でも使用されますが、患者さんの社会生活の状況や症状の重さによって、L-ドパを一緒に使用します。
・注射剤アポモルヒネは、他の治療薬でオフ症状が見られるときに自己注射することにより、速やかにオフ症状を改善します。
カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)阻害薬
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L-ドパを体内で分解してしまう「COMT」という酵素の働きを抑え、血液中にL-ドパがとどまる時間を長くし、効果を長続きさせます。
・ウェアリング・オフ現象を改善します。
・L-ドパ製剤の効き目を長続きさせるため、幻覚・妄想やジスキネジアといったL-ドパ製剤で見られる副作用が新たに発現したり、増強される場合があります。
・暗い黄色、赤みがかった茶色い尿が出ることがあります。着色の原因はCOMT阻害薬そのものの色ですので、健康に影響はありません。
モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬
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ドパミンを脳内で分解してしまう「MAO-B」という酵素の働きを抑え、その結果、ドパミンの効き目を長続きさせます 。
ウェアリング・オフ現象を改善します。
・L-ドパ製剤の効き目を長続きさせるため、幻覚・妄想やジスキネジアといったL-ドパ製剤で見られる副作用が新たに発現したり、増強される場合があります。
ゾニサミド
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さまざまな作用機序がいわれていますが、まだ十分明らかにはなっていません。
ウェアリング・オフ現象を改善します。
・眠気を催すことがあります。
アデノシンA2A受容体拮抗薬
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アデノシンA2A受容体を阻害することにより、ドパミンが少なくなることにより崩れた神経のバランスを調節し運動機能を改善します。
ウェアリング・オフ現象を改善します。
ドロキシドパ
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パーキンソン病では、ドパミンだけでなく、ノルアドレナリンも減少します。ドロキシドパはそのノルアドレナリンを補充する薬です。
すくみ足に効果を示すことがあります。
立ちくらみを改善させます。
・目に見えないものが見える(幻視)などの症状がみられることがあります。
アマンタジン
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ドパミン神経からのドパミン分泌を促進します。線条体で一部グルタミン酸受容体の感受性を調節します。
脳内のドパミンの分泌を促進させます。
グルタミン酸受容体の一部の働きを阻害し、ジスキネジアを改善します。
抗コリン薬
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ドパミンとアセチルコリンの作用のバランスが大切。抗コリン薬は、ドパミンの減少で相対的に作用が強まってしまったアセルチルコリンの働きを抑えます。
[PDF]パーキンソン病の 治療
https://www.boehringerplus.jp/sites/all/themes/jp/nbi/pdf/product-page/mra/guidance_03.pdf
(わかりやすく説明されています)
病状の進行・服薬の注意点など
http://www.midorino-hp.jp/pd-center/parkinson/information.html
抗パーキンソン病薬
https://kusuri-jouhou.com/pharmacology/parkinson.html
リハビリテーションハンドブック
http://www.kyowa-kirin.co.jp/parkinsons/rehabilitation/pdf/rehabilitation_hb.pdf