水頭症
・髄液は体の中で一番きれいな液体(99%は水・無菌)で1日に約450mLが産生され
る。
・普通の髄液の総量は大人で約150mL、小児で100mLといわれているので、この髄液は
産生から吸収まで1日に約3回程循環して入れ替わっていることになる。
・水頭症のタイプとして「非交通性水頭症」と「交通性水頭症」に分類することがあ
る。
脳室の経路で髄液の流れが悪い場合は、「非交通性水頭症」といい、小児に発症するこ
とが多く、頭蓋内圧が高くなる。
症状としては、頭囲拡大(乳幼児)・頭痛・嘔吐・意識障害などがあり、髄液の通路が
先天的に狭窄している場合や腫瘍等の病変が髄液の流れを妨げる場合に起こる。
脳表のくも膜下腔での髄液の停滞や生産、吸収に問題がある場合は「交通性水頭症」と
いい、成人・高齢者では、多くは頭蓋内圧は正常範囲にある。
症状は、足が上がらない、小刻みで不安定な歩行、物忘れ及び無気力、尿失禁など。
頭蓋内圧が正常範囲の水頭症を正常圧水頭症と呼び、くも膜下出血や腫瘍、外傷などの
後に続いて発症する場合を続発性正常圧水頭症といい、原因が特定できない場合を特発
性正常圧水頭症と言う。
近年、注目されている高齢者認知症の患者の5%~10%が特発性正常圧水頭症と言われ
ている。
・脳室内に閉塞原因を認めない水頭症を「交通性水頭症」という。
これは脳室拡大がみられるものの頭蓋内圧が正常範囲に保たれていることが多く、歩行
障害・認知症・尿失禁などの症状があり、正常圧水頭症と呼ばれている。
この正常圧水頭症は、くも膜下出血や頭部外傷など原因のはっきりしている「続発性正
常圧水頭症 Secondary Normal Pressure Hydrocephalus:sNPH」と原因のわか
らない「特発性正常圧水頭症 idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus:
iNPH」に分類される。
・sNPHは、くも膜下出血の後1~2ヶ月後において約30%の頻度で起こるため、くも膜
下出血後は注意深い経過観察が必要となる。
iNPHの場合は、歩行障害・認知症・尿失禁といった症状であり、老化による症状と鑑
別しづらいため診断が度々困難であり注意する必要がある。
正常圧水頭症について
https://www.medtronic.com/jp-ja/your-health/conditions/normal-pressure-hydrocephalus.html
・正常圧水頭症は水頭症の一種で、特に60代、70代の高齢者に発症する。
・正常圧水頭症の特徴として、通常は以下の順で次の3症状が徐々に現れる。
歩行障害(歩行困難):
小幅で足を引きずるように歩く。転びやすい。足が重く感じられる。
階段使用が困難。
尿失禁(排尿のコントロールの障害):
頻繁に、または急に排尿したくなる。排尿を我慢することができない。
軽い認知症(認識機能障害):
健忘症。短期記憶喪失。行動への関心の欠如。気分の変化。
・正常圧水頭症の患者の50%以上では、水頭症の原因不明。
一部の患者には、脳出血(動脈瘤破裂や脳の外傷などによる)や髄膜炎の病歴がみられ
る。
しかし、このような状態がなぜ、どのようにして正常圧水頭症を引き起こすのかは、明
らかになっていない。
特発性正常圧水頭症
https://www.kitano-hp.or.jp/section/nosinkei/c_06
正常圧水頭症(外科手術で治る唯一の認知症)
http://twmu-mcens.jp/case05.html
常圧水頭症(iNPH)とは