ゾコーバ(一般名:エンシトレルビル フマル酸)
① 経口で1日1回、5日間投与
② 2022.11.22 に緊急承認された国産の経口抗ウイルス薬
③ 重症化リスク因子がない軽症患者が投与対象
(高齢であることは重症化リスク因子の一つであるため、他の薬剤を検討)
④ 当面の間、国が対象医療機関・薬局へ配分
ゾコーバ錠は、投与対象が12歳以上の新型コロナウイルス感染患者で、軽症の段階から服用できる薬です。
これまでの薬は、重症化するリスクが高い患者を対象にしており、重症化リスクの低い患者は、対象外でした。
ゾコーバ錠も、これまでのパキロビッド、ラゲブリオと同様、緊急承認の薬であり、投与を受ける前に、適格性チェックと同意書へのサインが必要です。
〇 治験からみた効果や副作用
発症から3日以内に服用を開始すると、オミクロン株に特徴的な咳や喉の痛み、鼻水・鼻づまり、けん怠感、発熱・熱っぽさの5つの症状すべてが7日前後でなくなり、症状が出ていた期間がおよそ24時間短縮された。
投与は1日1回、5日間行われたが4日目の段階でウイルスの量が偽の薬を投与された人に比べて30分の1程度に減り、重篤な副作用はなかった。
〇 服用できないケース
一動物実験では胎児に影響があったことから、妊娠中や妊娠の可能性のある女性は服用できないほか、併用禁忌薬(飲み合わせの悪い薬)が36あり、慢性の病気の治療で薬を服用している場合には服用できない場合がある。
(産経WEST 2022.7.20)
塩野義製薬、ゾコーバは「100点満点ではないが自信あり」、市販後に有効性などのデータ積み上げへ(2022.11.25)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/22/11/24/10181/?n_cid=nbpbto_twbn
・「100点満点だとは思っていないが、総合力では良いものを作れた」「抗ウイルス薬であることが重要」──。ゾコーバについて、塩野義製薬の手代木功社長は説明会でそうコメントした。満点でないというのは、用量によっては催奇形性が現れることや、併用できない薬剤が多数あることを示す。一方で、適応となる患者における有効性については自信を見せた。
・ゾコーバは、第2相臨床試験までのデータで「得られている情報からは有効性が推定できるとは判断できない」との判断が下された。
追加で行われた第3相臨床試験でも、オミクロン株の症状が快復するまでの時間が、約8日から約7日に短縮されるという結果で、有識者の間でも有効性への評価は割れている
・ゾコーバは今回、緊急承認されており、緊急承認から1年以内に改めて正式な製造販売承認に向けて承認申請を行うことになっている
・抗ウイルス効果に関しては、正式な承認申請時には新たな適応を模索する可能性もある。その1つが予防薬としての用途だ。例えば、同居家族がCOVID-19に罹患した際に発症予防のためにゾコーバを服用することを想定している。また、体内に残ったウイルスを原因とする、COVID-19の後遺症に使うことも検討している。