心房細動の抗不整脈薬

不整脈に対する治療に用いられる薬を抗不整脈薬という。

 

抗不整脈薬はどのように用いられる?

心房細動そのものに対する薬物療法は、本来の拍動のリズムに戻そうとするリズムコントロールと、心室の動きを調節して心拍数を抑えるレートコントロールに大きく分けられる。

レートコントロールには、順風による症状を楽にする効果もあるが、心房細動の場合は、主に心臓の負担を軽減して心不全を予防するために行われる。

ただし、抗不整脈薬は、どれも不整脈を根本的に治す薬ではない。

また、抗不整脈薬には、かえって発作が増えたり、ほかのタイプの不整脈を招いたり、また心臓の収縮力が低下したりする副作用もある。

量が増えると副作用も強くなるので、必要最小限の量で使う。

 

●使う薬はどのように決められる?

心房細動は、発作の持続のしかたから、発作性心房細動(発症後7日以内に正常な服に戻る)、持続性心房細動(7日を超えて持続する)、永続性心房細動(治療しても止まらない)に分類される。

治療に用いる薬も、こうした発作の持続状況と、心臓にある病気や心機能などに応じて選択される。

 

例えば、発作性心房細動の発作を止めるには、心筋の異常な興奮を抑えるナトリムチャネル遮断薬などがよく用いられる。

しかし、持続性心房細動は電気ショックを用いないと正常なリズムに戻すのが難しくなり、永続性心房細動は電気ショックでも止まらない。

こうなると、抗不整服薬による治療は、心拍数を抑えるレートコントロールで心不全の予防を図ることが主眼になり、β遮断薬やカルシウム桔抗薬、ジギタリス製剤などが用いられる。

 

●薬が必要かどうかは人によっても違う?

心不全予防のためのレートコントロールの薬は患者さんのリスクから必要性が検討されるが、それ以外の抗不整脈薬はあくまで症状をとるためのものなので、必要性は患者さんの症状に対する考え方次第となる。

発作性心房細動で日常生活に不自由を感じている人は、まず抗不整服薬を使ってみるが、それで症状が十分に抑えられなければ、今はカテーテルアブレーションという選択肢もある。

心房細動に関してほぽ確立した治療法になり、1回の治療で半数以上が、2回の治療では8~9割まで正常に戻る。

ただし、これは発作性心房細動の場合に限られる。

 

抗不整脈薬もずっとのみ続けなくてはならない?

たまにしか発作が起こらなくても、抗不整脈薬は毎日のむのだろうか?

症状は年に数回の発作程度という人などは、抗不整脈薬の頓服という方法もある。

あらかじめ薬を処方してもらい、発作が起こったときだけのむというものだ。

通常、連日のむ場合のI回分より多めの量を使う。

ただし、頻度はまれでも、発作を起こしたくないという人は、やはり薬を毎日のみ続ける必要がある。

 

抗不整脈薬の減量や中止を考えたほうがよいときもある?

高齢になると、一般に症状を抑える薬の必要量は減ってくる。

また通常の用量でも過量になる人が増える。

処方されている抗不整脈薬の量がずっと変わらないような場合は、薬を減らせないかどうかを担当医に相談してみるとよい。

 

心房細動と診断されたら脳梗塞予防が重要で、それを一生続けていく病気と考える必要がある。

一方、症状に対する治療は患者さんの要望次第だ。

 

まとめ

●心房細動で最も怖いのは脳梗塞。血栓予防が必要な人は、抗凝固薬をのみ続ける。

●症状を抑える抗不整脈薬は、患者さん自身の生活の支障度に応じて用いられる。

 

参考

きょうの健康 2015.2